第四話

35/43
前へ
/179ページ
次へ
「それがまさか佐藤さんだとは思わなかったけど」 「海透が私だと?」 「いや、正確には違う。あいつがね、今回の人事で佐藤さんが必ず営業部に接触してくるから、その時はなにも言わないでほしいって」 その時、全部が繋がったよ。 沢木海透の大切な人は佐藤さんなんだってね、と小さく呟いた。 「会社としては結局、東京本社配属希望を受け入れたんだ。交換条件を提示してね」 「その交換条件というのは」 「次の人事には必ず応じること」 「それが今回の大阪支社なんですね」 「そうだ。入社前の立場で会社命令を拒否したんだ。さすがに今回の人事はおとなしく受け入れたようだ」
/179ページ

最初のコメントを投稿しよう!

291人が本棚に入れています
本棚に追加