第一話

2/35
前へ
/179ページ
次へ
ゴールデンウィークも過ぎた、5月半ばの東京の端にある12階建てのオフィス。 いつもの金曜日。 いつもの相手から、いつもと同じ終業10分前に、会社から支給された佐藤愛美の携帯電話が着信を知らせる音色を流す。 「はい」 「ここ5年分の成立事業の種類別案件数とそれらのかかった人件費、施工開始から施工終了した期間をまとめて送ってくれ」 誰からの着信なのか画面をみない。 相手は名乗らない。 だから私も名乗らない。
/179ページ

最初のコメントを投稿しよう!

290人が本棚に入れています
本棚に追加