プロローグ

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私には二人の幼馴染みがいる。 いつもどこか無鉄砲で元気が取り柄の近藤(こんどう) 大毅(だいき)。 いつも冷静でしっかり者の土方(ひじかた) 浩志(こうじ)。 二人とは物心がつく頃から、近所にある剣道道場へと一緒に通っていた。 剣道では二人に負けたことはない。 とはいえ、それは厳密に言うと中学生までの話で、中学生になってからは男子と女子で区別され、二人と真剣な試合をすることが無くなったたので実際のところは分からない。 公式ではないところでは手合わせをするし、勿論そこでも負けたことはなかった。 でも、おそらく二人は私に対して本気で打ってこないからだということを、私は大とコウの中学最後の試合を見た時に気付いてしまった。 その時の悔しさは今でも忘れられない… 小学生の時には気にならなかったことが、中学生になって(わずら)わしくなる。 三人の幼馴染みの中で私だけが女であることが… いっそ私は男として産まれたかった。 性格も大雑把で女の子らしさなど微塵(みじん)もないのだから… 私には兄が二人いて、更に昔から(だい)とコウと同じように男の子の遊びばかりしてきたのだから当然と言えば当然だ。 なのに今更、女の子である事実に打ちのめされるなんて思わなかった。
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