高校一年 春 (1)

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和兄がこちらを振り向きながら、仏頂面でため息を吐く。 和兄は二番目の兄で、和兄の上にもう一人、(たつ)兄という兄がいる。 その達兄は既にこの家を出て、立派に自立している自慢の兄だ。 「おはよう。ちえは朝ご飯はどうするんだい?」 婆ちゃんは朝食を食べながら、目線を手元に向けたまま私に質問する。 「うーん。時間が微妙…牛乳とその目玉焼きだけ頂くね」 そう答えて私は食卓にある目玉焼きを手で掴み口に頬張る。 「…おいおい、はしたないにも程があるだろ?せめて箸を使えよ原始人」 横で和兄が冷ややかな目で私を見ている。 そんな和兄を他所(よそ)に私は冷蔵庫から牛乳を取り出してガラスコップに注ぐ。 それを一気に飲み干すと、私はコップをシンクの中に置いた。 「行ってきまーす!」 「行ってらっしゃい」 婆ちゃんの声を背に受けて、私はせかせかと居間に戻っていく。 居間に戻ると爺ちゃんが横にいても御構い無しに寝間着を脱ぎ捨てて、隅っこに置いてある制服へと慌てて着替える。 爺ちゃんもそれが日常になっているため、もう何も言わない。
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