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彼女と初めて会ったのは、放課後の屋上。
田舎では珍しい金髪の女の子。
(こんなに目立つ子、この学校にいたっけ?)
よく見れば、制服が違う。
(ああ、ここの学校じゃないな…?じゃあ、どこの学校?)
屋上のフェンスのところに立って、僕に背を向けてずっと向こうを見ている彼女を呆然と見つめながら、僕は近隣の高校の制服を思い出していた。
(うーん、どこの高校とも違う。転校生かなんかかな?)
そんな結論に至ったとき、不意に声が聞こえた。
「…ねえ、君。なにか用事かな?」
「っっっ!!」
彼女がゆっくりとこちらを振り返る。
まるでスローモーション、長い髪が風に巻き込まれてユラユラと揺らぐ。
背中の方まである金色の髪が、風に揺らぎ何故か片翼に見えた。
完全にこちらを振り向いた彼女は、立ってこちらを見ていた。
白いはだの、目が大きい。金髪っていうだけで怖いという印象を抱いたが、その顔からは怖さなど感じない。むしろ愛嬌があるように見えた。
そんな彼女が、静かに口を開く。
「…何か用事かな、塚本秋くん?」
「…えっどうして僕の名前を知って……!?」
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