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「そっか。まあ、簡単には思い出せないか。私も秋くんを何十年も待たせてしまったし。」
彼女が不意に僕の方を指差す。
涙を脱ぐって自分の体を見ると何故か服が変わっていた。
白い手袋に、黒いタキシード。蝶ネクタイ。
黒い学生服から、すっかり装いも代わっており、身長も心なしか少し伸びた気がする。
ハッとして目の前を見ると、白いベールを被り、手にブーケを持ち、白いレースのドレスを着た彼女がたっている。
「…夢なんじゃないかって思ったの。こんなに幸せになっていいのかって。そしたらあなたはーー誰がなーちゃんを幸せにするんだって言ってくれたよ。」
彼女の大きな瞳から涙かこぼれ落ちる。
「…そっか、僕は君と結婚したの?」
彼女に近づき、彼女の顔をのぞきこむ。
ーなあなあ、今から考えるのもおかしな話だけど聞いてほしいんだ。
ーなあに、真剣な顔をしちゃって?
ー僕がさ、先に死んだらどうする?
ーえっ、何よその質問…なんかあったの?
ーいや、この前テレビでやっててさ。思ったんだ、死んだら記憶とか無くなってさ、すぐに生まれかわってしまのかなって。
ーうーん、そうね。私ならあっちの世界に行ったとき、もしも秋くんがそこにいたら何としてでも思い出してもらうかな!
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