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走馬灯のように知らないはずの彼女の笑ったかおが目の前を通りすぎる。
「ほんとは私の名前までしっかり思い出してもらいたいけど、そんなに時間がないから…」
ふと、見ると彼女の体と自分の体がそれぞれ徐々に消えかけているように見えた。
「……貴方がいなくなったあと、あの子達は立派に結婚もして、家庭を築いたのよ。あなたは、知らないでしょ?それとも、空から覗いていたりしてた?」
彼女が月が輝く空を指差しながら、笑って答えた。
「ずっとこの屋上にいたような気がするよ。…でもなんで学校の屋上なんだろうな?こんな格好をしてるんだから結婚式場がよかったのに。」
「ほんと、そうね。私、高校生のときから金髪好きだったのよ。とがってるーー!って周りには敬遠されたけど、中身は乙女チックで天使がいるって信じていたりしてね。」
彼女がケラケラ笑うと、こっちまで笑ってしまう。
完全に彼女の言っていることを受け入れている自分がいた。
溶け出してきた、体も、心もーーー
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