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ユキトと快晴は、オムツをしてる頃からの幼馴染だ。物心ついた頃には既に居て当たり前の親友同士。
小・中・高も一緒、大学も就職先まで一緒。
違うのは、たった1つの年齢差ぐらい。
いつも一緒だった。
「まっさか、“何でも屋”にまでついてくるとは思わなかったけどな~」
脱サラを決めた自分に最初こそは氷の目線で猛反対していたが・・
快晴の意志が揺るがないとみるや否や、さっさと自分まで退職願いをだして“何でも屋”開業の準備まで行っていた。
事務所の物件探しやら、営業許可取りやら、挨拶まわりやら・・・アレヨアレヨと言う間に準備は整い、気づいた時には快晴は“何でも屋”の社長兼従業員に。ユキトも同じ肩書きになっていた。
「昔っから妙なとこで行動力発揮するよなぁ、アイツ」
また1人で思い出し笑いをしていると、前方に見覚えのある影が見えてきた。
ユキトの愛車が、草を押しつぶしてそこにあった。
山道の傾斜もなんのその、持ち前の身軽さでさっさとバイクに近寄る快晴。
「お。あったあった。ん~?よし!壊れてなさそうだな!ったく、アイツは大事なもんなら置いてくなっての」
バイクを苦もなく起こしたところで、快晴はユキトの言葉を思い出す。
「そういえば、祠がどうとか男がどうとか言ってたな」
キョロキョロと辺りを見回すが、別段何も見当たらない。
時折、鳥の声が聞こえるぐらいで祠も人の姿などもどこにもなかった。
「やっぱユキトの聞き間違いじゃねぇのかぁ?」
やれやれとため息をついた瞬間、急に背後に気配を感じ快晴は固まる。
真後ろまではいかないが、それでも至近距離で誰かの視線を感じる。
ユキト程ではないが、驚いて固まっているとその背後の気配が強くなった。
《 ユキト と言うのか あやつは 》
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