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「ふーん?」
生い茂る草を掻き分け、隠れてよく見えていなかった祠に近づく。
目の前でよく見れば、ユキトが壊した屋根部分の隙間から中が見えた。
「なんだこれ?鉄サビ?」
《 私の憑代の剣だ 》
「剣なのかコレ。サビだらけじゃん。って!うっわ、折れてる!ユキトが折ったのか?!」
《 錆びは年月によるものだが、折れているのは元からだ 》
「折れた剣に取り憑くとか変わってるな、おっさん」
《 取り憑いているわけではない、封じられてるだけだ 》
嫌そうに顔をしかめた男に、快晴は適当に相槌を打つとバイクの元へと戻る。
「まぁ、なんでも良いけどさ。コレ、ユキトのとこに持ってかなきゃだから、また後で祠直しに来るよ」
《 お前が? 壊した張本人が来るのが筋ではないのか? 》
もっともな言葉に、快晴は申し訳なさそうに眉を下げる。
「そりゃそうなんだけどさ。アイツ、オバケとか大の苦手でさー。多分、もうここには近づけないと思うぜ?ビビって気絶しちゃいそうだもん」
《 自分が怖いから詫びもいれられんと?・・・ 罰に値する》
「あー、違う違う。詫びは入れたいと思ってるはずだぜ?アイツ、そういうとこすっごく真面目だから。でもオバケは怖い。んで、困って悩むユキちゃんを俺は助けてやりたい!だから、俺が勝手に直しに来るんだよ」
ニッと笑って見せた快晴に、男は暫し考えるそぶりを見せる。
快晴は、改めて頭を下げると両手を合わせて拝むように頼み込む。
「このとおり!アイツはちゃんと反省してるし、俺がちゃんと直しに来るから罰は勘弁!!・・・ダメ?」
《 ・・・ふむ。お前の友達思いの優しさは理解した。お前に免じて許してやらんこともないが・・・・ やはり 納得いかんな 》
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