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快晴が登山道に入っていってしまってから、ユキトは快晴のバイクの側でしゃがんで待ちぼうけていた。 最初こそは、快晴に着いていこうかと登山道の入り口を行ったり来たりしていたが、いざ登山道に足を踏みいれようとすると震えが来て足が動かなくなった。 何度かそうしてチャレンジしては道路へと戻るを繰り返し、最終的に諦めてこの場所へと落ち着いたのだ。 「祠・・・悪いことしたな・・・」 男の声に驚いて逃げて来てしまったが、物を壊しておいてそのままというのは・・・罪悪感で胸が痛くなった。 元来、ユキトは正直者で正義感のある男だ。曲がったことは許せないタイプ。 それは快晴も同じだが、それに輪を掛けて潔癖なまでに真面目なのがユキトだった。 「うー・・・やっぱ快晴に着いてけば良かった。ちゃんと謝って直さないと・・・でもまた声聞こえたら・・・うぅ」 頭をかきむしらんばかりにモンモンと悩み始めたユキト。 そうこうしていると、登山道の方からガサガサと草を掻き分ける音がしてきた。 ハッと顔を上げてそちらを見やれば、見慣れた笑顔が手を挙げて近づいてきていた。 「おいっすー!大事なバイクちゃん持ってきてやったぜ~」 「快晴!・・・ごめん、面倒かけて」 「いいっていいって!」 ニカッと笑う兄貴肌の幼馴染に、ユキトもにこりと笑いかえす。 その快晴の後ろから、ぬっと黒い影が顔を出す。 「また会ったな、小僧」 「ヒッ・・!!」 「って、普通に出て来いよ“守”。ユキちゃんがビビってるじゃん」 “守”と呼ばれた黒いトレッキングウェアーに身を包んだ男の声に、ユキトはビシリと体を凍らせる。 その低い声は、先程山の中で聴いた声と同じだったからだ。
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