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「快晴!登るのは無理だ!登山道がすぐそばにある!下に降りれそうだから行ってみる!」 「無理すんな!!助け呼ぶから待ってろよ!!」 「平気だ!快晴は下の道路で待っててくれ!じゃああとで!!」 「あ!こら!ユキト!!」 快晴の制止も聞かず、ユキトはバイクの元へと駆け下りる。 鬱蒼とした木々の合間にユキトの姿が再び消えてしまったことに舌打ちすると、快晴も慌てて元来た道をもどる。 「あいつ!可愛い顔してるくせに!全然言うこときかないんだから!」 ブツブツと心配からくる愚痴を零しながら、遠ざかっていく快晴。 バイクの元に戻ったユキトは、重い車体を起こすのに手間取っていた。 「っ!・・・滑るっ」 平らな道路でさえ、起こすのに一苦労の重量なのだ。 斜面な上に草と土では、テコの原理もうまく働かない。 だが、ここにバイクを置いていく気はさらさらなかった。 レッカー車を呼んで釣り上げてもらうのも手だが、釣り上げるまでに斜面を引きづられればバイクが壊れてしまうかもしれない。 そんなのは、ごめんだ。 「このっ、うっ・・・りゃああぁぁ!!!!」 火事場の馬鹿力。 根性と気合いで何とか車体を起こすことに成功したユキトは、体全体を使って急いで車体を支える。 車体の横に体を寄せて支えると、漸くバランスが取れた。 車輪が動かないようにしっかりブレーキをかけつつ、フッと何気無くバイクの止まっていた位置を見下ろす。 「岩石?・・・いや、これって・・・」 バイクの滑落がここで止まっていた原因。 それは、苔むした古い石造りの小さな小さな祠であった。 「うわっ・・壊れてる」 よく見れば、苔で緑色に染まった屋根の部分は見事に真っ二つに割れて崩れていた。 バイクがぶつかった衝撃のせいだろう、壁の一部も真新しいヒビがいくつも入っていた。
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