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「なんでこんなとこに・・・」 さっさとバイクと共に登山道まで降りてしまいたかったが、壊してしまった膝丈程の小さな祠が気になって目が離せないユキト。 何を祀っているのかはわからないが、苔といい質感といい、相当古いものなのはわかった。 周りは草が生い茂っているし、手入れもされていないようだ。 きっとここに祠があること自体を地元の人忘れ去って久しいのだろう。 見つめていると薄暗い木々の雰囲気もあいまって、ヒッソリと鎮座する石造りの祠からおどろおどろしいオーラが出ているような気がしてきた。 「う・・・ご、ごめんなさいぃっ!!」 ゾクリと背筋に冷たいものがはしり、ユキトは慌てて頭を下げると、逃げるように愛車と共に斜面を登山道へと進める。 思いっきり走って逃げ出したいが斜面ではそうもいかないので、ジワジワと下るしかなかったが心の中では全力疾走だった。 これ以上、祠のそばにいたらヤバイ気がしたのだ。 (ヤバイヤバイ!怖い怖い!) 胸中はパニック寸前、祠に向けた背中がまだ鳥肌立っていた。 重い愛車を押して何とか少しなだらかな登山道まで下りると、ユキトは大きく息をつく。 「こ、ここまでくれば大丈夫。このまま下りれば快晴が待ってる!」 知らずに顎まで伝っていた汗を拭いとり、道路を目指そうと一歩踏み出そうとした瞬間・・・ (えっ!う、動かないっ?!) 手足が氷漬けにでもなったかのように、動かなくなった。 内心大パニックを起こしながら、動け!動け!と念じていると、それは耳元で聞こえた。 《 なにが 大丈夫 なのだ・・・?》
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