竜の呪い

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同じ頃、一人の賢者が召喚師の仲間がいる村に向かっていた。 賢者…と言うと大半の人が連想しない…であろう美貌。海のような色の瞳。長い銀糸のような髪の毛。マント付きの洋服姿で弓を背負っている賢者、ディルは滅亡の危機に瀕している世界を救う方法を探す旅をしている魔法使い。独身で一途なタチでもあるディルは長身の青年で天涯孤独。子供好きで他人の子供でも自分の子供のように接するディルは後日、生贄がする格好で祭壇にいたマナブを見た瞬間、その目を見開いた。 あんな子供を生贄にするなんて…。 「どうかしてるっっ」思った事を言葉にするとディルはすぐマナブの元に走り始めた。 その時、まだかな~と言いながら来るはずのない仲間を待っていたマナブは刹那、そこから離れろっっと言うディルの声を耳にした。 「ハア?」 「そこはいけにえを捧げる祭壇だっ」ディルはそう言いマナブを祭壇からおろそうとした。が、アフォ故にマナブは何言ってんの?と言い聞く耳を持たない。 「バカッッ」業を煮やしたディルはそう言うとベルトにさしていた杖に手を伸ばした。 その時、マナブの背後に一匹の巨大な竜が現れた。 「遅かったか…」ディルはそう言うとその眉をひそめた。竜を殺した者は呪われる…という言う事実を知っているディルはその顔を曇らせ杖を振るとその口を開いた。 「ソウルブレイク」竜は大きな鳴き声を上げて死にマナブはエ…と言い竜に視線を移した。 「あ…」その時、崖の下に落ちて行く竜を見たマナブはエ…と言いその目を見開いた。 生贄ってホントの話だったんだ…。 マナブがそう思いディルに視線を移した直後、ディルがクッと言いその顔をゆがませた。 「ェッエッ大丈夫?」マナブはそう言いながらその場に膝を折ったディルに駆け寄りその口を開いた。 「どうしたの?」ディルは苦悶の表情を浮かべながらその口開いた。 「竜を、竜を殺した者は呪われるんだ」 「…エエッッ」 マナブは驚きをあらわにした後、考え事をするそぶりをし始めた。 何でこの人は呪われるって知っていながら竜を殺したんだろ?…「あっ」その時、やっとディルが自分の命を救う為に竜を殺した事に気付いたマナブは自分が祭壇から降りていればディルが呪われずに済んだ事に気付いた。 「オレのオレのせい…?」マナブは罪悪感からその目に涙を浮かべながらそう言いディルはその顔を綻ばせた。
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