1.女神登録

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*  四年間つき合った彼と、話し合いの上で別れた。結婚も考えた人だった。 「一人相撲だったわけよ、四年間」  思わず漏れ出る独り言に振り返る通行人もいるが、構うものか。何てことはない。彼は新しい女の子に乗りかえたのだ。彩実より少し器量が良くて、スタイルが良くて、気立ての良い若くて新鮮な女の子に。一ヶ月前のことだ。 「幕内(嫁)になる才能がないと見るや、新弟子にもってかれたー」  癒えたと思った傷は、カサブタとなっては剥がれることを繰り返し。二十八歳を迎えた夜も彩実は一人、街を彷徨(さまよ)っていた。目的もなく歩く中で、様々な主張が目に映る。 『22歳以下、学割利用可』 『月曜日は夫婦割ディ』 ━━どこにも当てはまらないってば。  ささやかに毒づく彩実の瞳は、一際デカデカとした文言を捉えた。 『今なら乗りかえ0円』 「やかましいわ」  ケータイショップの、ガラス張り扉に貼られた誘い文句だった。窓際にたたずむ罪のない店員をにらみつけるも、完全な八つ当たりだ。虚しさすら覚えながら通りすぎようとした彩実は、行く手を遮られるようにチラシを差し出された。 「占い居酒屋『占酔(せんすい)』でーす」 ━━占い居酒屋? 「怪しいわぁ……」
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