1.女神登録

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* 「一人相撲だったわけよ、四年間!」  思わず漏れ出る独り言に振り返る通行人もいるが、構うものか。  ほんの、ひと月前。四年間つき合った男と、話し合いの上で別れた。結婚も考えた人だった。何てことはない。彼は新しい彼女に乗りかえたのだ。彩実より少し器量が良くて、スタイルが良くて、若く気立ても良い、魚河岸の鮮魚のようにピッチピチな女の子に。 「幕内……じゃなくて、嫁になる才能がないと見るや、新弟子にもってかれたー」  癒えたと思った傷は、カサブタとなっては剥がれることを繰り返す。誕生日前夜だというのに、荒れた心で独り街を彷徨(さまよ)っていた。  目的もなく歩く中、うつろな彩実の眼に様々な主張が映る。 『22歳以下、学割利用可』 『月曜日は夫婦割ディ』 ━━どこにも、当てはまりゃしない。 『今なら乗りかえ0円』  ガラス張りのケータイショップにデカデカと貼られた文言に、ついに彩実はブチ切れた。 「やかましいわ!」  窓際にたたずむ店員をにらみつけるも、完全な八つ当たりだ。罪のないショップ店員にニコリと微笑まれ、虚しさすら覚える。素直に帰宅して、缶ビールを煽ってフテ寝しよう。  改心しかけた彩実の行く手を遮るように、そのチラシは差し出された。 「占い居酒屋『占酔(せんすい)』でーす」 ━━占い居酒屋?
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