1.女神登録

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 ブツブツとつぶやきながらも、なぜか足は自然と描かれた地図に倣い進む。彩実は占い居酒屋『占酔』があるとされる方角へと向かっていた。 「らっしゃいませ~!」  迷うことなくたどり着いた『占酔』店内では、若い店員の威勢の良いあいさつが飛び交っていた。普通の居酒屋と、何ら変わりない。 ━━まあいいか。二千円で飲み放題なら、充分に元が取れる。  チラシに添付されたチケットをもて遊びながら、店員の誘導を待つこと一分。 「お一人様ですかぁ?」 ━━お一人様ですが、何か!?  間延びした店員の声にすらかみつきたい衝動を何とか抑えつつ、案内された席に着く。立てかけてあるメニューを手に取るや1ページ目をめくり、思わず声を上げた。 「何、これ?」  コスプレ風俗の宣材プロマイドかと見紛う写真が、プロフィールとともに貼られてある。 「本日、指名できる先生方です。当店は指名制度となっておりまして……」  慣れた様子で、若い店員は流暢に説明を始めた。複数の占い師を常駐させているということは、『占い居酒屋』とは名ばかりではないらしい。口をポカンと開けたまま、彩実は強烈なビジュアルの占い師たちの写真に見入っていた。 「どの先生になさいますか?」 「あ……じゃあ、この人で」  若い店員からせかされ、吸い寄せられるように金髪縦ロールヘアが一際目立つ占い師を彩実は指さした。 「『ヴィーナス先生』入りました~!」 ━━ヴィ……?  プロフィール欄に『ヴィーナス・美朗』と記名されている。待つこと五分。中ジョッキビールを半分ほど飲み終えたところで、その名の通り朗らかな占い師が現れた。 「ヴィーナスでぇす!」
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