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8時45分、始業時間に遅れそうになり、会社に滑り込む女がいた。その名は清水美樹子、43才。独身一人暮らしで朝起こしてくれる人がおらず、目覚まし時計に頼っている始末だ。
更衣室で着替えを終えて、9時丁度に総務課にこっそり入る美樹子。課長が朝礼中に美樹子をジロッと見る。
「清水、また遅刻か!何回目だ?」
顔をしかめる美樹子。課長の隣には長身の若いイケメンが立っていた。まるで漫画に出てくるような王子様だった。
昼休み、ランチを食べながら、親友の幸子とおしゃべりをしている。
「新人さん、今日から入社したんだって? 名前はね、竹内翔馬くん、25才ですって! カッコいいわね」
「そう、でも20も年下じゃね、まるで親子よ」
「そうかなあ、今流行りじゃん!」
「ジェネレーションギャップ感じるわよ」
「幸子はいいわよね、20代に結婚して子供も大学生。丁度あの位よね」
「そうよ、並んで歩くと、恋人同士かって言われるわ、美樹子もチャンスあるわよ、見た目は若いからね、年下の旦那様持てば、自分も若くいられるのよ、頑張って」
1週間後、美樹子は課長に呼ばれた。
「今日から、君に竹内くんの教育係をお願いしたい」
「私がですか? 無理です」
「大丈夫、君なら出来るよ、頼むよ」
仕方なく、引き受けることになった。しかし、翔馬は覚えが早くてメキメキと仕事をこなせるようになっていった。
ある日、美樹子は高熱で頭がぼーっとして仕事をミスしてしまった。発注ミスで顧客を怒らせてしまう。落ち込んでいると、顧客から電話があり、また商品を購入するという。課長から理由を聞いた美樹子は驚く。翔馬が顧客宅に直接商品を届けたという。その誠意に心打たれた顧客は許してくれ、更に別の商品も購入するという。
美樹子はお礼に翔馬を食事に誘った。
「助けてくれてありがとう」
「助けたのは、貴女が好きだからです。僕と付き合ってください」
美樹子は余りにも突然過ぎる告白にワインをこぼしてしまう。
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