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実はこの時、旅先の暴飲暴食の末に胃腸が弱っていた。その結果、この日一日で何度トイレに通ったかまでは覚えていない。しかしあまりに硬いゴワゴワの紙で尻の穴を拭き過ぎた結果、少々穴の周りがヒリヒリしていた。結果、出来ることなら駅や商業施設等に今では当たり前に設置されている温水便座付のトイレを利用したい。優しい温水が穴周辺を優しく刺激し洗い流してくれる瞬間、温水便座を開発した日本の技術は世界一だとなんど私は思ったであろう。そしてこの時もまた温水便座に感謝しつつ用を足したいと思うも、残念ながら私は渋々と立ち上がりトイレのある車輌へと歩き出した。 足下から伝わる列車の振動に尻の穴だけでなく全身が臨戦態勢に臨む緊張感に包まれる。ガタン、ゴトン、ゴトン、ガタン・・・・と規則正しいようで実は微妙に乱れる振動に必死に体が合いの手を打つかのごとく体全体が不規則に脈打つ。常に微弱なしかし予測の出来ない振動に穴が決壊、茶色の大洪水を幾度となく連想する。しかしながらこの時は多少の余裕はあったのだ。
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