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手すりに左手だけで掴まると恐る恐る聞き足の右足を上げる。そして体ごと右斜め前方に動かしつつ大股開きで二両目へと足をそっとおろした。どうやら大丈夫らしい。今度は右足を軸にして残った左足を引き寄せ無事に二両目の車輌へ足を踏み入れ安堵の溜息を漏らすと再びトイレへ向かった。 しかしどうやらここで一瞬安堵したのが原因か、または大股一歩の選択が間違っていたのか。私の腹は二両目の真ん中辺りで突然、激しい腹の痛みに襲われたのである。その痛みは腹の内壁を誰かが太鼓代わりにドン・ドコドンドン!ダンダン!!ドコ・ドン!とランダムにそしてヤケクソに激しく叩かれてるような激しい痛みに襲われたのである。 ああ、もうこうなってしまっては尻の穴から一瞬でも意識を逸らせば洪水確定である。冗談でもスリル満点などと笑える余裕は微塵もない。 そんな状況の中、私は必死に尻の穴に力を入れつつ「ヒップアップ」「肛門括約筋」なる二つの単語が頭の中を高速スクロールする中、ヨチヨチとトイレのある3号車へと内股気味で歩いていくのであった。
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