今日

4/4

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
 これは幻想夢で、有夜も僕の御伽噺のエキストラに過ぎない。  僕だけが、識ってる。僕自身存在して居ないのだと。  此処は鏡の世界【御伽噺の国】。  本当のヤガミ アリヤは男の子で、この御伽噺の世界とは別世界の現実(リアル)の世界に生きている。  現実(リアル)の世界の者らが、鏡を透して観た世界。其処は現実(リアル)の世界の者からしたら過去の世界で、僕らの棲む世界なんだ。  そう、だから僕は識ってる。有夜と来週の月曜日には、一緒に出掛けられないってコト。  知りたくないことさえ、理解してしまう。御伽噺の国は残酷だ。  本を読むのは頁を捲って、それで展開をドキドキワクワクと少しずつ未来を識っていって楽しむじゃないか。  だけど、僕らは誰かの過去。鏡の世界【御伽噺の国】に密かに住まう住人。本で例えるなら、既に結末が解っている面白味のない紙切れ。  それは……有夜の含む僕以外の住人に限る話だ。  然し、僕は別世界に〝僕〟を持たない。鏡の世界【御伽噺の国】こそが、僕の世界なんだ。  鏡の世界【御伽噺の国】で、生まれ育った僕は総てを視る力がある。  即ち、台本(シナリオ)の結末が唯一分かっている者。  だから、判る。  有夜があんな約束をした理由も、有夜と約束を果たせなくなる理由も。 「……よく見たら、来週の月曜日って、明明後日(しあさって)じゃないか」  約束の日迄、後3日間。楽しみに待とうか。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加