僕の卵を産んでください!

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 ………!    ………ざめよ………!  何だ?  ……目覚めよ……!  五月蠅いな……俺は眠いんだ……。  『_____目覚めよ! 愚かな人間め!』  バチッ!  「っつ!!!!?」  身体を突き抜けるような衝撃に、俺の身体が意思とは関係無く跳ね上がり暗闇から意識が引き戻された!  「な"っ? ヒュッツ!? ゴホッ! ゴホッ!」  機能を停止してた筈の肺が自活し急に膨らんだ事に驚き、俺は激しく咳き込む。  「な、にっ……?」  状況が飲みこめない……だって、俺、死______。  『そうだ、お前は死んだ……だから、もう一度死んでもらう!』    「はぁ!?」  起きぬけに物騒な事をほざく声の主を俺は睨みつけた____つもりだった。  「?」  俺は、自分の視界に入った物が何なのか最初良く分から無かった。  それは、黒光りする大きな鍵爪の生えた大きな『前足?』にメキメキと蠢く緑色の細かい『鱗?』。  何度かの瞬きのあと、俺は仰向けに横たわっていた身体を起こし徐々に視線を上げる。  「ウソだろ?」  見上げた視線の先には、全長20mはあるハリウッドもビックリの某ジュラシック映画さながらの恐竜的な生物が溢れる殺意をさらけ出し血走った目で俺を見下していた。  『死ね人間! この世界の為に!』  空間を震わせるかと思うほど低く地を這うような怒号に、茫然と恐竜を見あげていた俺は我に返る!  ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ!!!!  何だか知らないが、このままでは俺はこの恐竜に殺される!!  さっきまで死んでたとか、ここは何処だとか、何でとかどうしてとかそんな事はどうでも良い!  兎に角今は_____! 『逃げよう!』っと、思い立った時には既に遅く立ち上がろうとした俺の腕に植物の幹が巻きつきそのまま身体を釣り上げられる!  『無駄だ、人間……お前如しがこの森で我に抗う事など出来はせぬ』    森?  俺は、恐竜に言われて初めて辺りを見回す!  周囲を囲む樹齢何百ねんとかありそうな樹木に、朝露に反射して輝く美しい植物群。  こんな大ピンチに……あ、これ世界遺産の森っぽいな……なんてどうでも良い情報が脳裏に浮かぶ俺の頭は思いのほか混乱しているようだ。 
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