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俺は恐る恐る扉を押して中に入る。
からんころん、と来客を知らせるベルが鳴ったが中から人が出てくる気配はない。
仕方なくアルバムなどを物色していると、数分してから「こんにちは」と静かな声が背後から聞こえてきた。
「いらっしゃいませ。何かお探し物ですか? それとも写真の現像?」
振り返ると、腰までありそうな金色の長髪を三つ編みにした彫りが深い西洋風な顔の男性が微笑んでカウンターに立っていた。
茶色いニットに青いネクタイのスーツ姿。
店主の風貌まで確認していなかったため、つい狼狽えてしまう。
クロエも綺麗な顔だけれど、店主は正に『美しい』という言葉がぴったりと合いそうな顔をしている。
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