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「あ、あのー、これで僕がストーカーじゃないと信用してくれますか?」
「わかったよ。まぁ、ストーカーがこんなに堂々と出来るわけないし、リングに上がって戦うこともしないだろうよ」
「あ、ありがとうございます。あと、あのー、DVもやめてもらえるんですよね」
「なんだよそれ!」
あこたんの彼氏は、呆れた顔をしながら、声を出して笑いはじめた。
「誰だよオレがDVをしてるって言ってるやつは?プロボクサーのオレが暴力振るったら、犯罪だぞ。ライセンスも剥奪されて試合なんてできないだろう」
「で、でも聞いちゃったので…」
「誰から聞いたか知らないけど、本人に聞いてみたらどうだ?」
ほ、本人に?直接?あこたんの方をそっと見てみた。
笑顔で首を横に振っている。
「な、なんだぁ」
「当たり前だろ」
そう言ってあこたんの彼氏とあこたんは見つめ合った。二人の表情は幸せに満ちていた。むきー。
「それにしても、まさか両手でパンチ打ってくるとは思わなかったよ。今度の試合で使おうかな」
「本当ですか!?」
「本当に!?」
僕と平田さんが同時に声を上げた。
「冗談だよ。絶対使わねぇ。あんなかっこ悪いの」
全員で声を出して笑った。
窓から町の喧騒が見える。多くの人が行き来している。歩いているみんなが幸せに満ちているように見えた。
第2R『正義の拳』完
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