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俺は帰ってから早速自室の机を漁って何か手渡すのに丁度いい紙がないか探した。
そうやってしばらく漁っていると、いつだか小説をまとめて買った時に袋に一緒に入れられたペンギンの形をした一枚ずつ切り取れるメモ帳が出てきた。
こんなものを俺が使っていると大分ヤバイ奴に思われるかもしれない。
だが、あの年頃の子はこういうファンシーというか、可愛い物が好きなのではないのか。
そういう流行りみたいなものには疎いから、よくわからない。
……いや、これにしよう。
今このタイミングで俺がこんなペンギンの形をしたメモ帳を持っているということに、その、何かしら意味があるのかもしれない。
うだうだ考えていても仕方がない。
俺は早速彼女に手紙を書くことにした。
なんとか書き終えた後、その日は一日中落ち着かなかった。
上手く寝ることも出来なかった。
今までただ見つめることしか出来なかった彼女と、話をすることで俺にも出来る……かもしれない。
そしたら何を話そう。
俺はあの子のことを知らない。
普段どんな生活をしていて……そうだ、いつもどんな曲を聞いているんだろう。
あの白いイヤホンから、どんな曲だ流れているのかを想像する。
ああでも、まだ気が早い。
慌てるな。
落ち着け。
まずは、手紙だ。
あの内容で、本当に大丈夫だろうか。
なんて書けば、警戒されないだろう。
コンビニの店員です。
いつもあなたをみていました?
これじゃストーカーか。
友達になりませんか。
迷惑メールみたいだな。
うんうん唸りながら、一文字一文字書いた。
もともと字が汚いのに、緊張でいつも以上にヨレヨレの文字になってしまった。
不器用な自分を呪いたい……。
そんなことをしているうちに、あっという間に夜になった。
もうすぐコンビニに出勤しなければならない。
俺は、自分の正直な気持ちを手紙を書いたそれを胸ポケットにしまい家を出た。
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