看取り

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老人ホームで利用者を看取った時の話。 家族の面会後一時間もしないうちに、下顎呼吸という喘ぐような呼吸になった。 家族に連絡するが、あと一時間は行けないという。 介護員二人と俺が利用者に付き添い、顔や手をなで、「頑張ったね」「今までありがとうね」と声を掛ける。 20分程して、一際大きく呼吸をすると、利用者は呼吸を止めた。 そして、二度と呼吸することは無かった。 90数年の生涯は、家族ではなく、施設の介護員二人と俺に看取られて終えた。 穏やかな顔だった。 人の死とはこういうものなんだ。
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