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その姿を追いながら、キースは口元を手で押さえた。
「凄い」
あの「魔王」が、魚を取った。
キースとここで生きる為に、初めて自ら動いた。
湧き上がってくるのは止まらない喜びだ。キースはこの場所で初めて「仲間」を得たのだ。それと同時に何度も口走りそうになる言葉。
「可愛いですね」
魔王の反応はなんて可愛いのだろうと思う。そんなことを思う自分はどうかしているのだろうが、それでも、戦い以外の姿を見せる魔王を、キースはもっともっと見てみたいと思う。
戦い以外で胸が高鳴るなんて初めての感覚だ。
魔王の前ではこの感情を漏らさないようにしよう、とキースは誓い代わりに拳を握った。
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