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　襲撃事件から２週間が経過した。
　ノアはコーヒーカップを手にソファーへ腰を下ろし、背凭れに深く身を預け長い息を吐いた。
　今日から２週間の休暇が始まる。本来はあの襲撃事件があった５日後に入る予定だった。しかし事態の収束に右往左往している内にスケジュールがどんどんずれ込み、このままではローテーションが破綻してしまうというところで、半ば強制的にとらされた訳である。
　まさしく大混乱といった状態にあった騎士軍はすでに平静を取り戻し、信頼回復に努めている。不安視されていたガーデリー国との関係悪化もなく、事態の収束は思いの外素早く順調に進んでいた。
　その流れを生み出したのは、シドニエル・ヴァレミ暗殺成功の事実だろう。
　襲撃事件があった直後、ＫＩＡはシドニエルの居所を特定した。水面下では、実行部隊はどうするか、どのような計画で進めるかなどで軍全体が揉めたそうだが、最終的にはＫＩＡ主導のもとで屋敷を空爆することに落ち着いたらしい。