118人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうだな。ちょっと、ムキになっていたようだ。君に迷惑はかけないようにするよ」
「違う、そういう事じゃない」グレンは身を乗り出すようにして続けた。「潰れた君を介抱するのは構わないが、今はまだ、素面の君とこうして話をしていたいんだ」
恥ずかしい奴め。ノアは顔が更に熱くなったのを酒の所為にすべく、ミモザを一気に飲み干した。
グレンに言われた通り、追加はバーテンダーに任せることにした。爽やかなブルーの酒を少しずつ飲みながら、ノアは口を開いた。
「ところで、君の方はいくつなんだ?」
質問をされてばかりだったので、今度はこちらが訊く番だ。
グレンは「26」と短く答える。
「ソードでの軍歴は長いのか?」
「いや、ついこの間訓練を終えて、やっとチームに配属されたばかりの新人だよ」
ソード分遣隊はその選抜試験の厳しさもさることながら、合格後の訓練内容も鬼畜を極めている。合格段階ではまだ正式な徽章はもらえず、一年間それに耐えきった者にのみ授与され、それから漸くソードを名乗ることが出来るのだ。
「陸軍にはいつからいるんだ?」
「大学を卒業してすぐだから、22歳のときだな。最初からソードが目標だったから、最短で試験を受けられる方法ばかり考えてたよ」
最初のコメントを投稿しよう!