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ソード分遣隊の下士官は二等軍曹以上であることが入隊条件にあるので、まずは従軍して出世しなければならないのだ。他にも諸々の条件はあるが、要約すると前科のない健康で屈強な肉体と精神の持ち主であることが求められている。30キロ近いフル装備をつけたまま泳ぐことが出来るとか、そういったところだ。
「ソードの前はやはりヴァルキリーに?」
ヴァルキリーは陸軍特殊作戦軍麾下部隊のひとつで、主にソードの支援要員として活躍している。ソード隊員の多くはヴァルキリーに所属していた経歴を持つことが多く、ソード入隊の登竜門と言われている。
「まぁそうだが……随分と詳しいな。目指したことがあるのか?」
「まさか」と答えてから、幼い頃を思い出して首を振った。「いや、憧れたことはあるかな。この国に男として生まれたからには、誰でも一度はソードになりたいと思うものだろう」
戦争映画はもちろん、パニック映画やアクション映画でもソード隊員という肩書きを持つキャラクターはよく登場する。カッコよくピンチを切り抜ける姿に、子どもはもちろん大人も夢中になる。
「君もそうだったんじゃないのか?」
問えば、グレンは宙を見上げて「うーん」と唸った。
「もちろん憧れたことはあるけど、自分がそうなるとは考えたこともなかったな。俺はずっと、親と同じ仕事をするもんだと思っていたから」
酔いが回ってきたのか、グレンはチェイサーを一気に飲み干した。
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