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──しかし、課題を言い渡されてから一ヶ月後。
私は絶望の淵に立たされることとなるのです。
一ヶ月前に課題を渡された時と同じ広間に再び集められる私たち孤児一同。
孤児の皆さんそれぞれが自分たちに与えられた犬を一緒に連れてきています。
リードを一生懸命引っ張っている子もいれば、抱き上げて頬を舐められている子もいます。
どちらかといえば、後者の方が多い感じです。
(今回の課題をクリアできた子たちはかなり多そうです。確かに……これまでと比べると、随分軽い課題でしたもんね)
そう考えていると、広間の扉の一つが開き、そこから珍しい人物が入ってきました。
ゴルグ=ラインソール、養子選定を執り行わせている本人です。
しかしこの施設に孤児が集められた初日に、私たちに向けた軽い説明をして以降は、私たちには姿を見せませんでした。
どうしてこのタイミングで……こんな軽い課題の考査の時に、何故来たのか。
私は何だか嫌な予感がしました。
そして私の当たって欲しくなかった予感の通り、ゴルグは衝撃の言葉を告げてきたのです。
「──殺せ。貴殿らに与えた犬を、殺すのだ」
え?
衝撃の言葉に、私は頭が真っ白になりました。
この一ヶ月間、苦労しながらも芸を覚えさせ、名前を付けてあげた白犬を。
今、私の右足に寄り添うようにお座りしているシャリテを……殺す……!?
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