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答えは保留となり、私は一度篠槙さんの元を離れました。
そして彼が快復した後は、全員でミーティングを行い、現在サブスタンティアティがほぼ壊滅状態まで追い込まれ、活動を停止しているという報告をハラマさんから聞きました。
ですが私は感じていました。
ゴルグ=ラインソーンは生きている。
そしてあの人が、この程度で野望を諦めるハズがない。
彼が諦めないのであれば、操り人形たる私もここで止める訳には行かない。
与えられた彼の意志に従い続ける。
私はまだ皆を騙し続ける道を選びました。
その後、雲隠れした『組織』の行方を掴むまでの間、レジスタンスの私たちには少しばかりの余裕が出来ました。
良い機会だからと、歓菜さんが篠槙さんを連れて教会へと出掛けて行きました。
まだ私の中に残っている僅かな自我は、篠槙さんが傍から離れてしまうことに危機感を覚えていました。
自我の発露した二回。そのきっかけは両方とも篠槙さんによるものでした。
だから今、自我が僅かに残っているのは彼が傍にいるからだと考えているのです。
ですがほとんどが「人形」に戻りつつある私は引き止められるわけもなく、篠槙さんたちはアジトから出掛けて行きました。
私は自我が沈みかけているのを感じながら、普段通りのエリーナ=ラインソールを装い、ユリアースさんたちを手伝おうとコンピュータールームへと向かいました。
「あ、ハラマさん」
コンピュータールームの前に着くと、ハラマさんが丁度部屋から出て行く所に遭遇しました。
彼はほとんどの時間をコンピュータールームで過ごしているので、休憩をしに出てきたのかもしれません。
ですが、私を見かけたハラマさんは話しかけてきました。
「エリーナくんか。良いタイミングだ、君を探そうとしていたんだ」
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