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「私は、お義父さんの温情により拾われて育てられたと言われ、それを信じてきましたが、実際は何かの目的のために選定された子。決して、慈悲や温情などではないと。つまりはそういうことなのですね、ハラマさん」
私はそこで話のまとめに入ります。
こちらから情報の再確認を行えば、ハラマさんに多少の話し漏れがあったとしても受け流すことが出来るからです。
確かに、彼らが知っているレジスタンスとしてのエリーナ=ラインソールならショックを受けそうな内容ではありますが、ゴルグの本性を全て知った上で傀儡となっている本来の私としては何の影響もありません。
後はショックを受けつつも、それでも義父を信じたいという優しい一面を見せるような演技をして終わり。
私はそう考え、実行しようとしたのですが、
「うむ。しかし、まだ続きがあるのだ」
彼はまだ話を終わらせませんでした。
多少の話し漏れ、などではなく、むしろハラマさんの目は「ここからが本題だ」とでも言いたげな程に据えられていました。
自我カテクシス欠乏症について知らないのであれば、あの施設についてこれ以上語ることはないハズ……。
私は何か嫌な予感を感じ取りながらも、再び彼の言葉を聞く姿勢に戻りました。
「……何でしょうか?」
「復元できたデータの中には、施設に所属していた一人の構成員の日誌があったのだ」
日誌……?
一体それに何の意味があるのか、私にはわかりませんでした。
「そこには集められた孤児の内、数名が「本来は孤児ではなかった」子供だということが記されていたのだ」
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