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自室へと逃げ込んだ私は施錠をし、追いかけてきた皆さんの声を無視しました。
毛布にくるまり、溢れ続ける涙でびしょ濡れになろうとも構わず蹲っていました。
一夜過ぎて新たな朝日が昇ろうとも、私は部屋を出ることはありませんでした。
(こんなにも大好きになってしまった皆さんをこれ以上裏切るなんてことは出来ない……。でも、本当のことを話して嫌われてしまうのも嫌──ッ!)
結局、私は「逃げ」を選んでしまいました。
部屋に引き篭もり続けていれば、皆さんとは顔を合わせずに済むので迷う気持ちは最低限で済みます。
これでは心配されてしまうことは分かっていたのですが、二つの選択の壁に挟まれた私は完全に心を折られてしまったのです。
しばらくすると廊下の方で何かを置く音が聞こえてきました。
恐らくそれは私の為に用意してくださった食事なのでしょうが、今の私は食欲も一切湧かず、それを手に取ることはありませんでした。
無論、このままでは良くないことは理解しています。
今私たちはゴルグとの決戦に備えて準備をしており、それが終わるのはそう先ではありません。
私のこの状態が、皆さんの決意を鈍らせてしまう危険だってあるのです。
だから、何とかしなければ……。
それは分かっているのですが……分かっていても、やはりどちらの恐怖にも私は打ち勝てずにいました。
………………。
そして更に次の日。
私の部屋のドアがノックされました。
その主は瑞稀さんでした。
今から皆でデュエマの大会をやるから一緒にやろう、とのことでした。
ですが当然ながら、皆さんと顔を合わせるのすらツラいのにデュエマなんか出来るワケがないので、私は無言で提案を却下しました。
瑞稀さんも事前に他の方に「無理だろう」と言われていたからか、「じゃあ気が向いたらいつでも来てね」とだけ言い残し、案外あっさりと去っていきました。
私から皆さんと距離を空けておきながら、
そのように想定より早く去られてしまった現状に、私は異様に悲しみを覚えてしまいました。
なんて我が儘なんでしょう、私は……。
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