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………………。
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あれからそれなりに時間が経過し、太陽がかなり傾いて空がオレンジ色に染まった頃、
俺は行きと同様にエリーナを後ろに乗せてバイクを走らせていた。
俺の腰に手を回して密着しているエリーナはどうやら半分夢の世界に飛び立っているようだ。
先程の情事のお陰か、相当に押し付けられている柔らかい感触を過剰に意識することはなかった。
それよりも俺の意識は何よりも彼女のこれからについてのことで一杯だったのだ。
(エリーナは死ぬことが罰なのであればと、受け入れる覚悟をしている)
事実を知ったユリアースたちが自分を許さず、処刑されるであろう可能性をエリーナはかなり高いと踏んでいるのだろうか。
違ったとしても、この後自分の生命活動が終わってしまうことに対して完全に覚悟を決めているのは事実だ。
だからこそ、エリーナは俺に『我が儘』をお願いしてきたのだ。
──しかし俺は受け入れる為に彼女の願いを叶えたんじゃない。
(俺は諦めたくない。エリーナと……一緒に生きたいんだ。ずっと!)
ここで終わりにさせたりなんかしない。
仮にユリアースたちがエリーナを断罪しようとしたなら……
俺だけはエリーナの味方でいよう。
勿論、目下のサブスタンティアティとの戦いを忘れたわけではない。
ゴルグを倒すことは、エリーナにとっても悲願なのだから。
(まずは決戦が終わるまでの処分保留を、必死に頼み込むしかないな)
俺は背後の体温を感じつつ、直後に迫る新たな大決戦に備えた戦略を必死に考えるのだった──。
NDB─初めて過るその想い THE END
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