6人が本棚に入れています
本棚に追加
/96ページ
隆侍は扉をノックした後、いつものように生徒会室へと入って行く。
「どうもです」
「あ、来てくれたね。赤渕くん」
「よ、隆侍」
出迎えてくれたのは陽毬と慧の二人だけだ。
かなみは仕事、姫南は友人との先約の為に今日は来ないようだ。
「それで俺を呼び出した用件というのは……」
実は今日は土曜日。
午前中だけで良いから生徒会室に来れないかと、陽毬から連絡があったのだ。
「うん。これが完成したから赤渕くんに直接試してもらいたくて」
陽毬がそう言って差し出して来たのはタブレット端末。
それを受け取り、画面を確認した隆侍は陽毬に言った。
「デュエマのネット対戦ツールですよね。でも、これは……」
「ほらほら、このアカウントが持ってるカードを確認して」
隆侍は言われるがまま、マイデッキをタップしてデッキを確認する。
すると彼は目を見開いて驚いた。
何故なら、デッキの中身がまるごと自分のデッキだったからだ。
公式販売されず、デュエマ関連の機器には反応しないはずのフューチャー・アームズが。
「前に陽毬が隆侍のカードを借りてスキャンしてただろ? これの為だったらしいぜ」
「そうだったのか……」
数週間前、何やらゴツい機械を机の上に置いていた陽毬が、1時間ほどデッキを貸して欲しいと言ってきたので、貸してあげたことがあったのを隆侍は思い出す。
「新しいカードが出る度にスキャンが必要だけど、こっちの方が試運転するのは楽だからね。Protection Warriorsの仲間にも手伝ってもらってこれを作ったんだよ」
更に陽毬はUSBメモリを追加で隆侍に手渡す。
その中のデータをコピーすれば、今のタブレット端末以外でもフューチャー・アームズ込みのデュエマ対戦ツールが使用できるという説明を聞きながら。
「よし、じゃあ早速やろうぜ隆侍。俺のPCにはもうインストール済みだからな」
慧は既に立ち上げていたPCを指差しながら対戦を申し込んでくる。
隆侍の持っているタブレット端末でも、すぐに『対戦希望者が現れました。受諾しますか?』という小さなウインドウが表示される。
「ああ。対戦ツールは初めてだから、お手柔らかに頼む」
隆侍はそう言いつつ、慧からの申し込みを受諾した。
最初のコメントを投稿しよう!