イルレコ─Encounter with [astronaut]

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隆侍は扉をノックした後、いつものように生徒会室へと入って行く。 「どうもです」 「あ、来てくれたね。赤渕くん」 「よ、隆侍」 出迎えてくれたのは陽毬と慧の二人だけだ。 かなみは仕事、姫南は友人との先約の為に今日は来ないようだ。 「それで俺を呼び出した用件というのは……」 実は今日は土曜日。 午前中だけで良いから生徒会室に来れないかと、陽毬から連絡があったのだ。 「うん。これが完成したから赤渕くんに直接試してもらいたくて」 陽毬がそう言って差し出して来たのはタブレット端末。 それを受け取り、画面を確認した隆侍は陽毬に言った。 「デュエマのネット対戦ツールですよね。でも、これは……」 「ほらほら、このアカウントが持ってるカードを確認して」 隆侍は言われるがまま、マイデッキをタップしてデッキを確認する。 すると彼は目を見開いて驚いた。 何故なら、デッキの中身がまるごと自分のデッキだったからだ。 公式販売されず、デュエマ関連の機器には反応しないはずのフューチャー・アームズが。 「前に陽毬が隆侍のカードを借りてスキャンしてただろ? これの為だったらしいぜ」 「そうだったのか……」 数週間前、何やらゴツい機械を机の上に置いていた陽毬が、1時間ほどデッキを貸して欲しいと言ってきたので、貸してあげたことがあったのを隆侍は思い出す。 「新しいカードが出る度にスキャンが必要だけど、こっちの方が試運転するのは楽だからね。Protection Warriorsの仲間にも手伝ってもらってこれを作ったんだよ」 更に陽毬はUSBメモリを追加で隆侍に手渡す。 その中のデータをコピーすれば、今のタブレット端末以外でもフューチャー・アームズ込みのデュエマ対戦ツールが使用できるという説明を聞きながら。 「よし、じゃあ早速やろうぜ隆侍。俺のPCにはもうインストール済みだからな」 慧は既に立ち上げていたPCを指差しながら対戦を申し込んでくる。 隆侍の持っているタブレット端末でも、すぐに『対戦希望者が現れました。受諾しますか?』という小さなウインドウが表示される。 「ああ。対戦ツールは初めてだから、お手柔らかに頼む」 隆侍はそう言いつつ、慧からの申し込みを受諾した。
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