イルレコ─Encounter with [astronaut]

3/39

6人が本棚に入れています
本棚に追加
/96ページ
そしてお互いに対戦デッキを選択し、デュエマを開始する── と、思ったのだが。 「あれ、通信エラーか」 慧が小さく呟く。 先攻となった慧はマナチャージするカードを選ぼうとしたのだが、そこで通信エラーが発生したというメッセージが表示されたのだ。 「まあネット対戦ならよくあるもんだ。部屋を立て直す」 「いや……少し待ってくれ」 気を取り直そうとした慧を隆侍が何故か止めてきた。 その反応に慧と陽毬が疑問符を浮かべる。 そんな彼らに隆侍は端的に事情を伝えた。 「……俺の画面ではデュエマが始まっているんだ」 それを聞いた二人はすぐに立ち上がり、隆侍が持つタブレット端末を覗き込んだ。 「本当だ……! でもどうして?」 「俺の画面はもうこの部屋から退出している状態だ。相手は一体誰なんだ?」 画面内では対戦相手が《めった切りスクラッパー》をマナチャージしてターンを終えたところだ。 自動的にドローされた隆侍側の手札六枚を眺めながら三人は疑問を感じ続けるが、答えはこの場には存在しなかった。 「一先ず対戦を続けよう隆侍。陽毬は、組織のやつと連絡取って、この事態について調べるんだ」 「う、うん。そうだね!」 隆侍は無言のまま頷き、陽毬もすぐさま生徒会長の席へと戻り、自分のPC画面へと視線を集中させる。 (俺は対戦に集中、だな) 陽毬が原因と対戦相手の情報を探してくれ、対戦内容以外の画面の疑問点は慧が気付いてくれるハズだ。 それならば、自分は相手が逃げないように対戦に集中させることだ、と隆侍は自分に告げた。 (まずはこっちもマナチャージ) 1ターン目後攻。 無論、隆侍をプレイできるカードはないので、手札一枚をマナゾーンへとドラッグさせてターンを終わらせた。 そして対戦相手のターン。 相手はマナチャージの後、その二枚をタップさせた。 何が来る、と思ったのだが……何故かバトルゾーンには何も現れない。 (何だ……どういうことだ?) 墓地にも何も無く、果たして今何がされたのか理解が追いつかない隆侍。 しかしそこで慧が先に気付いた。 「隆侍、超次元ゾーンだ! 相手のカードが増えている!」
/96ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加