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そしてお互いに対戦デッキを選択し、デュエマを開始する──
と、思ったのだが。
「あれ、通信エラーか」
慧が小さく呟く。
先攻となった慧はマナチャージするカードを選ぼうとしたのだが、そこで通信エラーが発生したというメッセージが表示されたのだ。
「まあネット対戦ならよくあるもんだ。部屋を立て直す」
「いや……少し待ってくれ」
気を取り直そうとした慧を隆侍が何故か止めてきた。
その反応に慧と陽毬が疑問符を浮かべる。
そんな彼らに隆侍は端的に事情を伝えた。
「……俺の画面ではデュエマが始まっているんだ」
それを聞いた二人はすぐに立ち上がり、隆侍が持つタブレット端末を覗き込んだ。
「本当だ……! でもどうして?」
「俺の画面はもうこの部屋から退出している状態だ。相手は一体誰なんだ?」
画面内では対戦相手が《めった切りスクラッパー》をマナチャージしてターンを終えたところだ。
自動的にドローされた隆侍側の手札六枚を眺めながら三人は疑問を感じ続けるが、答えはこの場には存在しなかった。
「一先ず対戦を続けよう隆侍。陽毬は、組織のやつと連絡取って、この事態について調べるんだ」
「う、うん。そうだね!」
隆侍は無言のまま頷き、陽毬もすぐさま生徒会長の席へと戻り、自分のPC画面へと視線を集中させる。
(俺は対戦に集中、だな)
陽毬が原因と対戦相手の情報を探してくれ、対戦内容以外の画面の疑問点は慧が気付いてくれるハズだ。
それならば、自分は相手が逃げないように対戦に集中させることだ、と隆侍は自分に告げた。
(まずはこっちもマナチャージ)
1ターン目後攻。
無論、隆侍をプレイできるカードはないので、手札一枚をマナゾーンへとドラッグさせてターンを終わらせた。
そして対戦相手のターン。
相手はマナチャージの後、その二枚をタップさせた。
何が来る、と思ったのだが……何故かバトルゾーンには何も現れない。
(何だ……どういうことだ?)
墓地にも何も無く、果たして今何がされたのか理解が追いつかない隆侍。
しかしそこで慧が先に気付いた。
「隆侍、超次元ゾーンだ! 相手のカードが増えている!」
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