イルレコ─Encounter with [astronaut]

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だが相手の攻撃はこの程度に留まらなかった。 マナゾーンのカードが四枚タップされ、一枚の呪文はバトルゾーンに現れた。 「《コズミック・ブレイン》ってのを唱えてきたな。超次元ゾーンの《ゼリア》を破壊して三枚ドローか」 コズミック・ブレイン 無色/4マナ/呪文 S(シールド)・トリガー 自分の超次元ゾーンにあるマナの数字が1以上のコズミック・ストークまたはバトルゾーンにあるアーマード・ワイバーンを1体選ぶ。そのクリーチャーを破壊し、カードを3枚まで引く。 《アスワイ》、《リゲル》共にノーコストでの出現なので、《コズミック・ブレイン》を使用してもなおマナはまだ二枚余っている。 オマケに《ゼリア》は互いのターン開始が能力発動タイミングであり、このターンの終わりには墓地送りになる予定だったので、あの呪文のコストにするには最適だったと言うわけだ。 テキストで「超次元ゾーンにあるマナの数字が1以上」とわざわざ明記しているのは、サイキック・クリーチャーやドラグハート・クリーチャーのコズミック・ストークをコストに出来ないようにする為だろう。 「っ、またスター・ウォーカーか。上手く引いてきたようだ」 「《星鳥リリアナ》、か」 丁度マナを使い切る形で新たなコズミック・ストークを召喚し、そのまま超次元ゾーンに送り込んできた対戦相手。 隆侍はその効果を早速読み取り始めた。 星鳥リリアナ 無色/2マナ/コズミック・ストーク/2000 スターウォーカー:このクリーチャーをバトルゾーンに出す時、かわりに超次元ゾーンに置く。そこにある間、このクリーチャーはSW能力を得、次の自分のターンの終わりにこのクリーチャーを破壊する。 SW-バトルゾーンにある自分のアーマード・ワイバーンはすべて「スピードアタッカー」を得る。 (超次元ゾーンある間は永続的にアーマード・ワイバーンをスピードアタッカーにする効果か……。干渉がほぼ不可能な場所だから防ぐことは難しいな) 永続効果は除去されるとすぐさま効果を失ってしまうという特徴があるが、相手の超次元ゾーンに干渉できるカードは公式のカード内では存在していない。 そしてオリカの中でも知っているのは、ヒミコが使った《超越聖帝エピングハウス》のみだ。 「スピードアタッカーか! マズい!」 隆侍とは違い、《リリアナ》の効果を読んだ慧は焦りの声を上げた。 何故だと思うと同時に、画面内の《リゲル》がタップされ、シールドのブレイクを開始してきた。 そして同時に、隆侍のマナゾーンに残っていた二枚も墓地に送られてしまった。 「なっ!?」 「《リゲル》は登場時に1マナ、攻撃時に2マナ削ってくるんだ。これで隆侍のマナは……0枚」 (まさか、全部削り取られるとは……) シールドがブレイクされ、手札ゾーンに加わっていくカードを眺めつつ隆侍も焦りを感じていた。 《リゲル》は元である《アスワイ》とは違い、ブレイク数を増加する効果は無い。 だがしかし、それはシールド・トリガーによる破壊の可能性は逆に下げているともいえる。 アストロノーツ・リゲル・ワイバーン 火文明/7マナ/アーマード・ワイバーン天/5000 G(グラビティ)・ゼロー自分のバトルゾーンに《アストロノーツ・ワイバーン》が1体のみであれば、このクリーチャーをコストを支払わずに召喚してもよい。 このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分のクリーチャーを1体、手札に戻してもよい。それが《アストロノーツ・ワイバーン》であれば、相手のマナゾーンからカードを1枚選び墓地に置く。 バトルゾーンに他の自分のクリーチャーがなければ、このクリーチャーが攻撃する時、相手のマナゾーンからカードを2枚まで選び、墓地に置く。 トドメは先延ばしにされ、逆転を生み出すマナをじわじわと削っていく。 マナを完全に無くされしまった隆侍の圧倒的な劣勢は明らかだった。
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