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「《サクソニー・ムーン》は超次元ゾーンから現るカードでありながら、自身にも更なる超次元干渉効果を持った特異なクリーチャー」
「ああ。《真理銃エビデンス》を出させてもらう」
隆侍が出したのは既存のドラグハート・ウエポンだ。
装備時効果で彼の手札は更に一枚増加した。
それによりついに《超電磁ダイナソーι》攻撃により発生したカードの処理全てが終了し、ようやくバトルに負けた《リゲル・ワイバーン》が墓地へと送られた。
「これで隆侍のターンは終わりなわけだが……」
「《エビデンス》の龍解条件は、水のクリーチャーの召喚か呪文の詠唱を計三回以上行うこと。《デポ・グライダー》、《超電磁ダイナソーι》、《フォートレス・ブラスター》でそれを満たしている」
強制効果なので、隆侍がタップすることなく画面内の《エビデンス》は《龍素王Q.E.D.》に裏返った。
「これでクリーチャーと呪文を一枚ずつ無償で出せるようになるから、《アブルフェーダ》ではなくこっちを選んだわけだな」
「ああ」
慧の声に隆侍は頷いた。
このターンは0マナスタートとは思えない程に何枚ものカードを使うことが出来たが、それが何ターンも続けて行えるわけではない。
だからこその《Q.E.D.》なのだ。
これでエンド時の処理が完全に終わり、画面内では自動的に対戦相手のターンへと移った。
だが何故か対戦相手のカードが動くことはなかった。
(……?)
どうしたんだ、と疑問に思っていると、画面内に小さなウインドウが出現した。
そこには『ボイスチャット申請』と書かれている。
(このタイミングで、音声通話だと?)
どうやらこの対戦ツールは相手に許可を得ることで音声通話が成立する仕様なのだと隆侍は少し時間を掛けて理解する。
相手の意図が読めない上に、これは自分だけの問題ではない。
隆侍は慧と陽毬に視線を向ける。
二人は口には出さずとも、頷くことで意思を示した。
(よし……っ)
隆侍は意を決し、小ウインドウ内にある「許可」のボタンをタップした。
タブレットに付いているスピーカーから聞こえる声は果たして、男性なのか女性なのか、若いのか妙齢なのか、三人は耳を潜めてそれが聞こえてくるのを待った。
『こちらの通話申請を受けて下さって感謝します。俺と同じオリジナルデッキの使い手である貴方と是非直接お話しがしたく、申請させてもらいました』
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