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手紙を畳んだツバメは、星河に改めて問いかける。
「で、どうすんのこれ?」
「もちろん、起動してみるよ」
無論、安全は保障されていない。
誰かがハラマを装った可能性も無視できない。
だが星河はハラマを、巴を信じていた。
十キロの無骨な機械にあった、唯一のスイッチを押した。
するとノートパソコンのようにモニターの部分だけが起き上がり、そこには『起動の為には、イリーガルメディアの認証をお願いします』と表示されていた。
モニターに元々接していた側の方には、丁度デッキが入るサイズの穴が開いている。
どうやらここに星河のデッキを差し込めと指示しているようだ。
そして当然、彼は迷わずにデッキをそこにセットした。
「あ、認証されたわ」
(さて、一体何が出てくるか……)
テロンッ、と軽快な音と共に画面が切り替わる。
といっても途切れた円のマークが色を変えながらグルグル回っているのだが。
ネットワーク技術が進歩し、このような動作待機をしなければならないことがほとんど無くなった今となっては珍しい。
古い機械故なのか、或いはそれほどまでに高度で複雑な処理をしているのか。
「これって……デュエマの画面よね」
そして数分間の動作待機を終え、画面に映し出されたのは誰がどう見てもデュエマの対戦画面だった。
対戦相手側の方もキチンと表示されているが、それがCPUなのか人なのかは分からない。
「対戦準備完了って、デュエマしろってことなのか」
「ホテルの時みたいに、勝つことが条件って感じなのかもしれないわ」
星河の疑問に、ツバメが推測で答える。
つまり、この対戦画面はこの機械の本来の機能を使えるようにするための腕試しという考えだ。
イリーガルメディアを認証させた人物が、ハラマが託した本人なのかをプレイングの熟練度によって確かめるということにすれば筋は通る。
「なるほど。となると、手加減は無用だな」
「……もうこの手札で、アンタが何をやろうとしてるのか分かったわ」
既に画面内で写されている五枚のカードを眺めた星河は口角を上げ、逆にツバメは相手を慮って頰を引き攣らせていた。
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