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「やっぱり、オリジナルデッキ──」
「それってイリーガルメディアってこと!? でもアンタのデッキはハラマって人が作った唯一無二の物でしょ? 他に存在なんて……」
ツバメは床に両手を勢いよく叩きつける。
星河が使うイリーガルメディアにも新たな上位種族は存在する。
だからツバメのその考えも間違ってはいない。
(例外としてシューデルさんのデッキもだけど、あれは俺のデッキを介することで誕生したモノ。だから現存しているのは俺のデッキだけのハズ……)
一方で星河は顎に指を添えながら思案する。
ハラマが作り上げたイリーガルメディアは自身の持つアストロノーツデッキのみ。
後にデッキが共鳴し合うことでシューデルと名乗った青年のティラノ・ドレイクデッキもイリーガルメディアへと変貌したが、それは彼がハラマと関係のある人物だったが故に、ハラマがそう設定したのだろう。
だがシューデルは決戦の最中、命を落とした。
もうイリーガル・メディアを所持しているのは自分だけのハズなのだ。
そもそも今対戦している何処にいるのかも分からない対戦相手が使っているデッキとは共鳴した形跡はない。
だから星河はイリーガルメディアとは言わず、より大きな総称を口にしたのだ。
そして次の瞬間、星河は別の可能性に気付いた。
脳の中を一つの電流が一瞬にして駆け巡るような感覚だ。
「サブスタンシャル・コーポレーションの残党……」
そう。オリジナルカードを使っていた人間は他にもいたのだ。
自分たちと敵対した強力な相手として。
「そっか。あいつらもハラマって人の技術を模倣してオリジナルカードを作ってたわ。それが一番妥当そうね」
彼らは技術を盗用したので、ハラマほど大量のカードを作り出すことはできなかったようだが
、その分反則級の強力なオリジナルカードを使っていた。
あの日から逃げ延びた誰かが、時間をかけてよりイリーガルメディアの解析に成功して、既存デッキにオリジナルカードを差し込む形から、星河のと同様にほとんどがオリジナルによって作られた新規のデッキを作り出せるようになっていたら……?
そんな憶測も可能なのだ。
「ますます、負けられないな」
あの事件はもう終わったんだ。
終わってないといけない。
じゃないと──あの人は、あの人たちは、何の為に命を捧げたんだ。
だから、必ず突き止めてみせる。
星河は、そう固く決心した。
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