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通常の通信による対戦をしていると思っている隆侍サイドと違い、星河サイドは不可思議な機械によって成されている事実を知っている為、真っ先にそんな提案をした。
隆侍は慧と陽毬の顔を伺ったが、二人共デュエマよりも情報を優先させろとは示さなかった。
「……ああ。そうしよう」
恐らく対戦相手の青年はオリカデッキ同士の対決を楽しみたいのであろう、と隆侍は気付いていた。
デュエマを楽しむ。
今の自分にそれは出来ないが、ヒミコというオリカデッキ使いを見据えている以上、この経験は決して無駄にならない。
だから隆侍は了承した。
『ありがとうございます。……ああ、折角ですから互いの呼び名を決めておきましょう。分かりやすく「ルナブル」さんとお呼びしていいですか?』
「大丈夫だ。ならこっちは「アスワイ」と」
感謝の言葉を述べた星河は、便宜上の呼称を設定した。
安直なネーミングではあるが、あくまで一時的なものなので拘る必要はないのだ。
なので隆侍もそれに倣って、同じような呼称を設定した。
『ええ、ではデュエマを再開します』
「……来いっ!」
そして二人の言葉の合図によって、再び対戦が再開されたのだった。
──
隆侍:手札7枚、マナ3枚、シールド4枚
《アガタルキデス・リプル》、《超電磁ダイナソーι》、《ブライトホーク・リプル》、《時空の龍覇サクソニー・ムーン》、《龍素王Q.E.D.》
星河:手札3枚、マナ6枚、シールド5枚
(超次元ゾーンに《星鳥リリアナ》)
──
星河からのターンで再開したデュエマ。
自動処理でドローされた手札から一枚のカードをマナゾーンに移動させながら喋り始めた。
『……まさかあの状況からここまで巻き返されるなんて思いもしませんでした。大量展開をされた上にこっちの召喚コストを増やしてくるとは』
「こっちもオリカじゃなかったら、完封されるところだった」
決して謙遜では無い言葉を隆侍は返した。
実際、彼が知っている既存カードであれを巻き返せるカードは無かった。
『ですからこちらもオリカらしさを出すとしましょう。3マナで《コズミック・プログラム》を唱えます』
「……コストの無い《転生プログラム》か。場に残らないコズミック・ストーク故ってところだな」
『その通りです。ここまで逆転されてしまうと、運に頼るしかありませんからね』
星河が唱えた呪文は、既存カードに似ている効果を持っていた。
運頼みの効果ではあるが、手札に現状の打開策がない星河はこれを使わざるを得なかったのだ。
コズミック・プログラム
無色/3マナ/呪文
S・トリガー
自分の山札の上から、コズミック・ストークか出るまでカードをすべてのプレイヤーに見せる。そのクリーチャーをバトルゾーンに出し、表向きにしたカードはすべて墓地に置く。
自動処理で画面内のデッキのカードが墓地に移動していくが、当然手動よりも高速なので一秒も満たずに該当カードを表示するウインドウが現れた。
『──捲れたカードは……よし、《星鳥アウレリア》です。当然、スター・ウォーカーによって超次元ゾーンへ行きます』
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