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そしてバトルゾーンを整え終えた隆侍は、いよいよ攻撃の宣言を行う為にタブレット内のクリーチャーを押し、相手プレイヤーのシールドへとスライドさせた。
「まずは《超電磁ダイナソーι》でダブル・ブレイクする。攻撃時に《シリウス・ワイバーン》をそっちの手札に戻し、そのコスト以下の《ルナ・グレーホース》を手札から出す」
《シリウス》をバウンスするメリットはあまり無いが一応除去を行う隆侍。
その処理もすぐに終了し、シールドブレイクの演出が挟まる。
『トリガーは無いですね』
「なら次は《サクソニア・ムーン》でダブル・ブレイクさせてもらう」
スピーカーから対戦相手の星河から攻撃が無事に通ったことが伝えられたので、すぐに次の攻撃を行う隆侍。
『こっちも、トリガー無しですね』
「《アガタルキデス》で最後のシールドを攻撃だ」
『……どうぞ』
これで全てのシールドを割り終えた。
シールド・トリガーは無かったのか、或いは呪文だった為に《シールベース》によって唱えることができなかったのか。
どちらにせよ、次がトドメの攻撃となる。
(最後までトリガー無し、か。残るはニンジャ・ストライクか革命0トリガーだが、《スペースエレベーター》は効果では選ばれないアンタッチャブルだ)
《スペースエレベーター》を出したのは、綺麗にダイレクトアタックを行う為だったのだ。
なので隆侍はそのカードを選択し、タップさせた。
「《スペースエレベーター》でダイレクトアタックだ!」
「これで決まるか……!?」
未知のオリジナルデッキとの対決の行方に、観戦に回った慧がつい呟く。
彼にとって、これ程にワクワクするデュエルもそう無いのだろう。
そしてそれは、画面の向こう側にいる星河も同じだった。
『こんな楽しい対戦、ここでは終わらせませんよ。俺は手札から《星鳥グラティア》の能力を発動させます』
「やっぱり手札から来たか。《スペースエレベーター》はアンタッチャブルだが」
対戦相手の手札から二枚のカードが墓地に移動し、その片方の能力が起動した。
隆侍は自分のクリーチャーの能力を指摘するが、目敏い星河は勿論それを見逃していなかった。
『心配無用です。《グラティア》は手札の他のコズミック・ストークと一緒に捨てることで、ターンの残りを飛ばせるんですよ』
「……っ、そう来たか!」
対象を選ぶ除去や、ブロッカーを出すことで防いで来ることを想定していた隆侍だが、星河が行ってきたのはまさかのターン強制終了。
どんな強力なクリーチャーが攻撃してきても、何体アタッカーが残っていようと関係のない、最強の防御手段だ。
星鳥グラティア
無色/1マナ/コズミック・ストーク/1000
このクリーチャーをバトルゾーンに出すことはできない。
相手が自分を攻撃した時、自分のシールドがなく、自分の墓地に《星鳥グラティア》がなければ、手札にあるこのカードと手札のコズミック・ストークを1枚選び、墓地に送ってもよい。そうしたら、ターンの残りをとばす。
このクリーチャーがどこからでも墓地に置かれた時、墓地にあるアーマード・ワイバーンを1体選び、手札に戻してもよい。
(まさか、こんな方法で防がれるとは……っ)
隆侍のターンエンド宣言を待たずとも、ターンは星河へと明け渡されることとなった。
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