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隆侍はタブレットの液晶画面内に表示されているデッキを指で押し、カードをドローした。
空だった手札ゾーンに唯一来たカードは、これまで隆侍がずっと頼ってきた強力なオリジナルカード。
(《次元龍覇ルナ・ドラコベース》……)
「ここでドラグナーか。こっちの超次元カードじゃ、この状況は……」
ドラグハート、サイキックの種類を問わず呼び出すことが出来るカードではあるが、果たしてそれらの中にこの状況を突破できるカードはあったか……と二人は逡巡する。
「……いや、そうか」
そして隆侍はある事に気付き、すぐさま《ドラコベース》をバトルゾーンへとスライドさせて召喚を行った。
「《次元龍覇ルナ・ドラコベース》を召喚する」
『……なるほど、そっちが本命のドラグナーですか。次元龍覇ということはドラグハート、サイキックどちらをお出しになるんでしょうか』
星河の声を聴きつつ、画面内に新たに表れた超次元ゾーン一覧ウインドウの中から、1枚のカードを選んだ。
そのカードは超次元ゾーンから移動し、バトルゾーンへと現れた。
「俺が超次元ゾーンから呼び出すのはこいつだ。
──《タイニーハーバー・リプル》!」
そのカードはドラグハートでもサイキックでもない、普通なら超次元ゾーンにないハズの通常クリーチャーだった。
《ドラコベース》の能力は「コスト7以下の水のカード」を呼び出すというものなので、このような運用も可能なのだ。
「おお! さっき《アブルフェダリオン》で置いたカードか!」
『次元龍覇故の対応範囲の広さを利用したわけですね……』
隆侍の想定外の選択に二人が連続して驚きの声を上げた。
既存の次元龍覇である《次元龍覇グレンモルト「覇」》も同様に超次元ゾーンの通常カードに干渉可能とはいえ、実用的ではなかったため、驚くのも致し方ないが。
「こいつの月マナ武装によってデッキから水単色のコスト5以下の呪文を手札に加える。これでクレセントムーン・オーバーが発動し、《ブライトホーク》のパワーが3000アップする」
隆侍の現在のデッキ内で唯一パワーを上げていくことが可能な《ブライトホーク》を利用することで、このターン中で突破する方法を選択したようだ。
勿論、サーチした呪文もすぐに使用する。
「そして手札に加えた呪文《王立アカデミー・ホウエイル》を唱え、三枚ドロー。《ルナ・アーマリー》がいる為、このドローでもクレセントムーン・オーバーが発動し、さらにパワーを9000アップだ」
《アーマリー》を残したのは念のためだったが、この状況なったことでそれが正解だったことに内心安心している隆侍であった。
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