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パワーが防衛ラインである19000に近づいたことで、ツバメが思わず声を上げる。
『パワー18000……。で、でも攻撃可能になるパワーには1000届かなかったわね!』
『盤面をよく見なよ』
『え?』
反応してきた星河の言葉に従い、改めて機械のモニターに映し出された盤面を見るツバメ。
『彼はまだ……1マナも使ってないんだ』
『あ!』
隆侍は《アブルフェダリオン》自身を犠牲にしてまで、《Q.E.D.》を残した。
なので《ドラコベース》の召喚も《アカデミー・ホウエイル》の詠唱も、マナゾーンのカードは一枚もタップしていないのだ。
よって引いた三枚のカードの中から、隆侍は普通に一枚を選び、マナを支払って召喚することが出来た。
「最後にこいつを召喚する。──《ルナ・ブルーダイナソー》」
最後の出てきたのはこのデュエマで一番最初に出したデッキの核であるクリーチャー。
その登場に、三人もニヤリと笑みを浮かべた。
「一枚ドローし、《ブライトホーク》のパワーは21000となり、《アルニラム》のラインを突破し、攻撃可能となった」
攻撃が可能となったことで、これまで消えていた攻撃可能を指し示すオーラが《ブライトホーク》に発生した。
それをタップし、攻撃ボタンを押す。
「《ブライトホーク》でダイレクトアタックだ!」
「《アルニラム》の3ドローで《グラティア》を引かれてなければ……!」
これが最後の攻撃であってくれ、と二人は同時に願う。
そしてその願いは叶ったのか、新たなカードが処理される様子はなく……
そのまま画面には「YOU WIN」の文字が表示された。
「通った……か」
「よっしゃ、こっちの勝ちだな」
安堵する隆侍と、ガッツポーズで勝利を喜ぶ慧。
そんな彼らに、スピーカーから賞賛の声が掛けられる。
『──見事です。──ても楽しいデュエマでし──』
しかしその声が再びノイズによって一部がかき消されてしまっていた。
それがどんどん激しくなっていく。
通信の限界が来たのだと、隆侍は悟った。
「……ああ、俺もだ」
デュエマを楽しむ。
正直、それには賛同しかねる隆侍ではあったが、ここで否定することはできなかった。
『──やらそろそろ限界みた──すね。貴方たちの健闘をお祈り──』
そしてその言葉を最後に、スピーカーからは完全にノイズだけが聞こえる状態となってしまった。
数秒後には「対戦者との通信が途切れました」と表示されてしまい、対戦部屋から強制退室させられることとなった。
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