NDB─彼女に待つ未来

2/7

6人が本棚に入れています
本棚に追加
/96ページ
そしてゴルグ=ラインソールとの最終決戦の日。 私は皆さんと一緒にサブスタンティアティの隠れ家へと乗り込みました。 ──篠槙さんと結ばれたあの日、アジトに戻った私は皆さんに全てを明かしました。 それぞれ驚き、戸惑い、悲しみ、そして怒りました。 特にユリアースさんとノルさんの怒りは凄まじいものでした。 勿論、私を処刑するという意見も飛び交う程でしたが、最終的にはそうはなりませんでした。 何故なら篠槙さんが、私を処刑するなら自分にも同じことをしろと言ってきたからです。 私をどうするか、その判断は保留ということで一旦の決着となりました。 まずは目先の目的であるゴルグ=ラインソールの打倒。 裏切り者の処遇はその後でも遅くはないし、その前に戦力を削ることは命取りであると判断したからです。 とはいえ無罪放免ではありませんので、私は決戦の日まで自室にて軟禁ということになりました。 無論、私も納得していますし、決戦の日には参加できるという寛大な判断に感謝しました。 ゴルグの潜む隠れ家に関しては私の情報を元に突き止めました。 私が先導し、隠れ家の中を案内したのですが、その最中に強烈な不快感に襲われたのです。 その正体は『闇のゲーム』と同様に力を奪うことが出来る『フォースド・スティール・パワー』、通称FSPと呼ばれた装置によるものでした。 私もかつてそういったものを完成させるべく研究中だと聞いたことはありましたが、既に完成したことは知りませんでした。 危うくレジスタンス全員が戦闘不能となってしまう危機的状況でしたが、篠槙さんの持つ《最凶の覚醒者デビル・ディアボロスZ》が実体化し、彼とその近くにいた私と瑞稀さんだけは、FSPの影響から逃れることができたのです。 背に腹はかえられない状況となってしまった以上、倒れた皆を見る役として瑞稀さんを残し、私と篠槙さんだけがゴルグの元へ向かわざるを得なくなってしまいました。 そして今、私たちはゴルグの待つ最奥の部屋を目指し駆けているのです。 「エリーナ、体力は大丈夫か?」 「だ、大丈夫ですっ、お気遣いなく!」 篠槙さんと私では体力の差が大きく、既に私は肩で息をし始めていました。 ですがだからといって休むわけにはいきません。 ここでは私だけが……私だからこそできる役割があるのですから。 ゴルグがいる最奥の部屋は私も知らない『事になっています』。 勿論、完全に篠槙さんたちの味方となった私が道案内することは可能ですが、極力ゴルグに寝返ったことを悟られない為に、道筋は所々のモニターに表示されている矢印にお任せしました。 そして何度目かの分かれ道で、私は立ち止まりました。 「エリーナ、どうしたんだ?」 「篠槙さん……貴方はゴルグの元へと行ってください」
/96ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加