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勿論、本当のことを言えば、ゴルグのことは殺したいほどに憎いです。
あの人は私の両親を殺した仇敵なのですから。
……ですが、私は手を掛けることはしませんでした。
憎い、本当に心の底から憎いと思っているからこそ、私だけでなく、世界全体からの裁きを与えるべきだと考えたからです。
完全敗北を悟り、沈黙してしまったゴルグは篠槙さんが拘束し、私は皆さんの元へと戻り、瑞稀さんと協力してハラマさんを最奥の部屋へと連れて行きました。
そしてフォースド・スティール・パワーの解析をしてもらい、蓄えられていた力を解放できるようにしました。
サブスタンティアティの残党は事前にゴルグが降伏したことを伝えて戦意を喪失させ、これにてようやく私たちレジスタンスの決戦は終わりました。
拘束したゴルグと共にアジトへと戻った私たちは、「最後」の為の準備をし始めました。
私とユリアースさん、ノルさん、ハラマさんは反抗側であるレジスタンスとはいえ、元はサブスタンティアティの一員です。
よって政府に身柄を拘束されることに変わりはありません。
その為の身辺整理を行っていました。
そしてもう一つ。
篠槙さんたち異世界組の方々を元の世界に戻す為の方法を探ることです。
彼らもこのままでは同様に拘束されるでしょうから、その前に帰してあげたいというのが私たちの希望です。
……世界を救ってもらった彼らに、これ以上こっちの世界の事情に巻き込まれて欲しくはありませんから。
ただ、これはすぐに解決しました。
従来の方法であった、『鍵』のカードに決闘実体化能力を行使することで次元を開けるというやり方は、ゴルグとの決戦の際に、すべての人間がその力を失ってしまったので出来なくなってしまっていたのですが、
それを集約していた原初の『鍵』のカードが、一時的に力を使わずとも次元を開けるようになっていることが判明したからです。
ですので、篠槙さんたち異世界組の皆さんは、明後日に元の世界への転送を行うことで決定しました。
(短い間でしたが、貴方と恋人になることができて、深く愛し合うことが出来て本当に幸せでした)
私は篠槙さんの顔を思い浮かべ、目頭が熱くなるのを感じました。
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