さよならの見える窓

1/2
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ

さよならの見える窓

 卒業。独り暮らし。大学生。マジか。もうすぐコイツとも離れ離れとか、マジか。  卒業式なんて永遠にこなきゃいい。バイバイとかさよならとか、三年間何気なく落としまくってきた言葉が、今までとはまったく別の意味を持ってしまう。卒業して別れたら、その後また会える確率ってどれくらい? それって、俺がコイツに玉砕する確率とどっちがどうなわけ?  窓の外がクリアに見えてくる。ハアッと息をかけたらまた曇り、ぞうきんをかけるとキュッキュと歌い、そしてさらにクリアに視界が拓ける。  オレの視線の先で、彼がベランダの手すりを拭いている。「寒いから中、おまえやれよ」と内側の窓拭きを男前に譲ってくれたけれど、知ってるか、窓開いてたら中も外も関係ねえよコレ。 「くそサムッ。時間まだかよ」  思わず愚痴ると、黒くなったぞうきんを振り回しながら彼は笑った。 「終わったら肉まん食って帰ろーぜ」 「肉まん。いいね。いますぐ食いてえ。買ってきて」 「奉仕活動なう。シバかれるわマジでやめて。最後までパシらないでー」 「いつもパシってないだろ」     
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!