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さよならの見える窓
卒業。独り暮らし。大学生。マジか。もうすぐコイツとも離れ離れとか、マジか。
卒業式なんて永遠にこなきゃいい。バイバイとかさよならとか、三年間何気なく落としまくってきた言葉が、今までとはまったく別の意味を持ってしまう。卒業して別れたら、その後また会える確率ってどれくらい? それって、俺がコイツに玉砕する確率とどっちがどうなわけ?
窓の外がクリアに見えてくる。ハアッと息をかけたらまた曇り、ぞうきんをかけるとキュッキュと歌い、そしてさらにクリアに視界が拓ける。
オレの視線の先で、彼がベランダの手すりを拭いている。「寒いから中、おまえやれよ」と内側の窓拭きを男前に譲ってくれたけれど、知ってるか、窓開いてたら中も外も関係ねえよコレ。
「くそサムッ。時間まだかよ」
思わず愚痴ると、黒くなったぞうきんを振り回しながら彼は笑った。
「終わったら肉まん食って帰ろーぜ」
「肉まん。いいね。いますぐ食いてえ。買ってきて」
「奉仕活動なう。シバかれるわマジでやめて。最後までパシらないでー」
「いつもパシってないだろ」
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