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「なら、楽しもう!伊織…印象に残るデートをしないか?」
「うん…」
「そうだ!花火見に行こう、少し遠いけど確か花火大会の会場が近い筈、なっ!」
「それいい!でも、行くなら浴衣着たい」
「でも、俺は持ってないぜ?」
「ウチ行こうよ、お父さんの浴衣あるし形見の浴衣私着たいしねっ?」
思いがけず俺は今、伊織の住んでいるマンションに行く事になった、2人で手を繋ぎながら歩き、近くにあると言うマンション、それは本当に近くて歩いて5分もかからなかった。
「ここが私の今の実家だよ、男の人を入れるのは初めてだけど、亘ならお父さんも知ってるから大丈夫だよね?…あっ!お父さん帰ってる」
「えっ?いきなりは不味くない?」
「平気よ!行こ!」
「あ、うん…なんか怖いな、おじさんに会うのも10年ぶりだし、どんな顔をすれば良いんだ?」
そうこうしてるうちに亘は伊織に手を引かれてエレベーターの中、誰もいない空間に2人きりは何とも言えない独特な雰囲気を醸し出す、何時の間にか伊織は俺の身体に身を寄せていて密着状態、作り物と聞いていてもその膨らみは柔らかく髪からは潮の香りに混じり石鹸の様な清潔な香りが鼻をつく。
「どうかした?」
「いや…なんか恥ずかしくて」
「何で?今なら良いじゃんお互いの気持ちを理解できてるんだし、なんなら触っても良いよ…亘」
「マジ!?」
無言で小さく頷いた伊織は胸を触りやすい角度に変えて物憂げに見つめて来る…俺は意に反し手を伸ばして触れて見ようかと思った…が、その矢先ピンポンと言う機械音がなり扉が開きそれは未遂に終わる結果となった。
8階のエレベーターホールから右に2部屋先で伊織は足を止めた、どうやらそこが伊織の自宅らしい…変わった形のキーを挿し込み施錠されてる鍵が開く音がすると伊織はゆっくりと扉を開けた。
室内からはテレビの音が響き、灯りが灯っている、伊織はふぅ…と1呼吸すると
「ただいま!お父さん…居るの?」
と、声をかけた暫くしてから懐かしいおじさんの声がする。
「帰ったのか?伊織?」
「うん、でも…浴衣着たら花火大会に行って来るからママの浴衣とお父さんの浴衣貸して!」
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