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「お邪魔しまーす!」
「伊織、誰だ?今の声」
「懐かしい人だよ、お父さん」
「懐かしい…人?」
部屋の奥からソファを立ち上がる様な音がした、暫くして部屋から顔を覗かせる伊織の父、亘を見るなり目を丸くして言う
「お前…水上亘…なのか?」
「はい!おじさん…10年ぶりですね?お元気してましたか?」
「おお!亘かぁ…あっ!だが…伊織良いのか?」
「もう解決済みだよ、あの話もじゃなきゃ来るわけないでしょ?」
「それなら良いが…しかし、亘でかくなったな」
「10年ぶりですよ、おじさん…当たり前じゃないですか?」
「そりゃそうか…で、浩はどーしてる?」
「兄貴ならそこの喫茶店・海豚屋にいますよ、店長代理で忙しいっすけど」
「ほう、あの小僧がいっぱしになったな…お前は?」
「俺は進学に向けてこれからです」
「上手くすれば来年は大学生か?」
「はい」
「まぁ、立ち話もなんだ、伊織が用意する間俺に付き合えよ亘」
「良いっすよ、お酒は飲めないですけど」
「バーカ幾ら俺でも未成年に酒なんて進めねーよ、色々話聞かせてくれって意味だ」
「じゃあ私浴衣用意するからお父さんと寛いでいてね、亘」
「ああ」
俺は伊織のお父さんにリビングへ通され、その間、伊織は別部屋で浴衣の準備を始めた。
「………なるほどな、で、娘とってか?」
「あ、はい…でも、おじさん案外楽天的ですね?」
「海外にゃそんな子多いからな、日本だけだよ視野の狭い連中が居るのは、まぁ俺も最初は迷ったが、変な事されても困るからな…やっぱり子供は元気じゃないと…しかし、長く続けるなら十分覚悟はしろよ、日本じゃまだまだ視野が狭い中には酷い事を言う奴もたくさん居る、あの子と付き合うならそー言ったリスクは覚悟しとけ…亘」
「確かに…でも、大丈夫お互いが信じていればやっていける気がしますから」
「そうだな…一応でかい声じゃ言えないが、どうか彼奴を悲しませないでくれよ亘彼奴にはお前しかいないんだからな」
「はい」
丁度区切りがついた所で伊織が俺を呼び出した、程なくおじさんの浴衣を着終えた俺はリビングでおじさんとたわいもない話をしつつ、浴衣に身を包んだ伊織の姿に期待していた。
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