序章 -電撃トラベラー-

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わたしと黎人が出会ったのは、 3年前の3月19日。 大学の入学式を2週間後に控えている時だった。 私はは彼氏だった岳と近くのテーマパークである、 キャンディアドベンチャーへデートに行った。 そこに行くのは私も岳も久しぶりだった。 リニューアルされた上、 私達が両方とも方向音痴なこともあり、 私達は、迷ってしまった。 さっきまで家族やカップルが 賑わっていたのが嘘のように周りには誰もいない。 いや、地図見ろよって感じだが、 地図を読めない程、重度な方向音痴だった。 そんな時、人気 (ひとけ) のない 電撃トラベラーというアトラクションがあった。 『ねぇ岳、スタッフさんに案内してもらおうよ。』 『そうだな、でも全然人いる感じしないけど。』 『奥にいるのかもよ。ちょっと行ってみようよ。』 そんなこんなで私達は中に入った。 中は薄暗く妙に肌寒い。 私達の足音だけが響く。 『岳、やっぱり出ない?なんか怖い。』 『客入り悪いから、 スタッフさん、奥で居眠りしてるんじゃね? 俺、奥見てくるから茉希はここに居ろよ。な。』 『いや、ここに1人は...』 と言い終わる前に、 岳は奥に入ってしまい、姿が見えなくなった。 『行っちゃったよ。 あーあ、ほんとに不気味なとこだなぁ。外で待っとこっ。』 そう言って、入口のドアを開こうとする。 しかし、ドアは全く開こうとしない。 『どういうこと? 外から鍵をかけられたってこと!? でも普通、鍵は中からは開けられるはず。』 そう言って鍵の部分を見る。 ...なんと、鍵は掛かってはいなかった。 『きっと、誰かが外から意地悪してるのね。 絶対、開けてやるんだから。』 力づくで押してみるが茉希の力では微塵も動こうとしない。 『仕方ない、なんかハンマーみたいなものないかしら?』 と、振り返ると岳が進んでいった通路の横にドアがある。 見た限り、鍵は掛けられていないようだ。 『よし、あの部屋に何かいい物があるかも!』 そう言って、茉希はドアを開けて部屋の中に入った。
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